今日、『革命前夜』という本を読み終えました。
ついこの間読書を始めてから、まだ2冊目の本です。
ベルリン崩壊を目前に控えた東ドイツ。
日本ではちょうど昭和から平成に移り変わる日に、主人公の青年は一人ピアノ留学のため渡独する。
完全に音楽に包囲されている国で主人公が出会うのは二人のヴァイオリニストと一人のオルガニスト。
全く未知の土地で自らの音を見失ってしまう最中、主人公は彼らに罵られ、悩まされ、励まされ、救われ、成長していく。
正直なところ、本の内容に共感できる部分は多くありませんでした。
当然ながらその時代、その場所にいたわけもなく、彼らの心情は想像することすら難しい。
何の前情報もなく読み始めた当初に「面白い」と感じることはありませんでした。
共感も想像もできない。
簡素なユーモアがあるわけでもない。
しかし、今思えば、読み進めるうちに浸っていっていたなと感じます。
思うように演奏できない主人公の苦悩ー。
若者たちの青春ー。
ベルリンの壁に自由を奪われた東ドイツ人の葛藤ー。
見慣れない単語や表現たちですが、しかしそれらが連なった文章は確かに美しく、不思議と物語の中に引きずり込まれます。
総じて感じたことは、何て人間らしい物語なんだ、ということです。
無邪気に夢を追いかける少年らしさがあるかと思いきや、青年期ならば誰もが抱く憤りや嫉妬がある。
決して合理的ではない行動や言動、自分でもそんなことはわかっている、しかし止めることはできない。
そういった登場人物たちの泥臭さは確かに人間味を強く放っていて、そしてどのような文化でも変わらないのだなと感じます。
そういった意味では全く共感できないわけではなかったのでしょう。
完全なハッピーエンドとは言い切れません。
しかし本を閉じた後に私の心を霞ませるようなものはなく、ただ一人の青年の成長を見届けたかのような気分。
ドラマティックな描写は少なくなかったものの、自然かつ詳細な解説もあってか、「ひょっとするとこの本は、歴史的な事件の影に確かに存在した、何者かの実話なのではないか」と思わせるほどのリアリティがありました。
読み終えたばかりなので本の感想はまだまだ語り足りませんが、この記事の本題はここから。
先ほども出した、「人間らしさ」についてです。
恐らくですが、私は喜怒哀楽の心情変化が人より激しい、というよりロマンチストなんだと思います。
自分で言うのもなんですが。
ちょっとしたことで悲しみ、ちょっとしたことで喜び、それが去るとまた悲しむ。
それは自分の長所であると思いますが、それ以上に短所だと、今のところは考えています。
しかし、それこそが人間らしさであると断言できますし、治したいとも思いません。
人間であるくせに人間らしさを治すというのはおかしな表現かもしれませんが。
なぜなら、私は今確実に、以前の生活の方が幸せだったと感じています。
金銭的危機感がなくなり、車も買えた。
恐らく将来的な不安は払拭されたといっても過言ではないでしょう。
しかし以前の方が幸せだった。
確実に。
愛する人が身近にいた。
大好きなバーにいつでもいけた。
友人がたくさんいた。
遊ぶ場所もたくさんあった。
そして生活に自由と華があった。
それら故の苦悩も少なくはなかったかもしれませんが、一言で表すと自分らしく生きていました。
このままでいいのだろうか?
確かにある程度以上の将来は約束されているのかもしれない。
しかしそれで自分は幸せになれるのだろうか?
いずれ一緒になるであろうパートナーは幸せになれるのだろうか?
ただ生きていく上での不安はない。
しかし、それ以上に何かもっと人間らしい部分で、今私は不安を感じています。
できればお金と自由を両立できる環境に身を置きたいものですが、どうすればそれが叶うのか、今はまだわかりません。